各元素が鋼材の特性に与える影響

鋼を製造する工程上、組成に含まれる主要5元素

元素 特性
C 炭素 機械的性質(強度)を高める。焼入性向上。
含有量が高すぎる場合には、脆くなる。
Si シリコン 製造工程上、脱酸材として使用される。
多くなると脆くなる。
Mn マンガン 少量で強度を高めるわりに延性の低下は少ない。
焼入性がよくなるため、熱処理を施す鋼には重要。
P リン 偏析しやすく、靱性、溶接性を損なう。
S 硫黄 リン同様に偏析しやすく、靱性、溶接性を損なう。
硫黄快削鋼など、切削性を高めるのに有効な元素。

添加等により鋼材の特性をコントロールするその他の元素

元素 特性
Cu 銅 耐候性に効果的。
析出硬化で強度が向上する。
Ni ニッケル 強度、靱性をどちらも高める。
低温用鋼などに添加されることが多い。
Cr クロム 焼入性を増大させる。
耐候性、耐食性、耐酸化性、高温特性などを向上。
Mo モリブデン 高温強度を向上。
焼戻脆化の防止に有効。
Al アルミニウム 脱酸材として添加されることが多い。
靱性が向上。
Nb ニオブ
Ti チタン
V バナジウム
微量の添加で結晶粒を微細化し、靱性を向上させる。
N 窒素 鋼材中に固溶し、過剰の窒素は歪時効を引き起こす。
少量(適量)の場合には靱性を向上する。